ニースの「シャガール美術館」



ニースの「ニース・ヴィル」鉄道駅から、1kほどのところに「シャガール美術館」はあった。
我か家にもシャガールのリトグラフを飾ってあるので、この美術館を訪ねて、好きなシャガールの作品を観るのを楽しみにしていたのだ。
館内に入ると、壁いっぱいに飾られた色鮮やかな絵に圧倒された。フラッシュを便わなければ、写真はOKである。わたしは、愛機のシャッターを押しまくった。館内を一巡して撮影してから、両度ゆっくりと素曙らしいシャガールの絵を鑑賞した。
豊かな色彩と抒情的なモチーフの数々の作品を観ていると、心までもがキャンバスに吸い取られてしまいそうだった。
コート・ダジュールを愛した、ロシア生れのユダヤ人マルク・シャガール。彼は第二次世界大戦後に、フランスに永住した。生涯故郷とユダヤ神話に固執して、愛と聖の幻想世界を描いたのだった。
シャガールは、敬虔なユダヤ教徒の父母兄弟とともに、ユダヤ教会に通う生活だったという。一方では、ヨーロッパやロシア文化に憧れていたそうだ。ロシアの風景や風物、それに出会った人々を描いていた。
シャガールの故郷・ビィテブスクは、彼が生涯にわたって描き続けてきた、モティーフだった。描かれたロシアの町は、民衆的であり、土俗的でもある。その作品からは、土の温もりが伝わってくる。
シャガールは、早い時期から花束のイメージを作品の中にとり込んでいる。また彼は、良き伴侶ベラに対する愛を花束にたとえており、彼女に抱く思いと結び付けられているのだ。
シャガールの墓石は、彼がこよなく愛した、紺碧の地中海が見える「サン・ポール・ド・ヴァンス」の地に眠っていた。





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