砂漠から眺めるボグド山


天山山脈は東へ延ひるにつれて、しだいに高度を下げてゆく。しかし、中国の新疆ウイグル自治区の主都・ウルムチの近くになると、にわかに高くなっている。この山脈はボゴダ山脈で、「ボグド・オーラ」との山名の主峰は5445mである。「オーラ」とは「山」の意だ。
我々はウルムチから、海面よりも300mも低いトルファン盆地へと、マイクロバスで向かう。一帯は、タクラマカン砂漠か続いている。眺める雪を頂いたボグド山は、白銀こ輝いていた。我々が走っている灼熱の砂漠とは裏腹に、涼しい気分にさせてくれたのだ。
この山は、イギリス人のシプトンとティルマンの登山家や、1980年のドイツ・オーストリア隊のアタックを退けてきた。しかし、翌年の1981年に、日本から6隊が入山し、その一隊が初登頂したのだ。
バスは砂埃を上げて、砂漠の一本道をトルファンヘと走り続ける。タマリスク(ラクダ草)しか生えない、荒涼とした風景の中にボグド山は現われ、しだいに小さくなっていった。




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