ラオスの古都・ルアンパバーン



ラオスの国土は、日本の本州の広さとほぼ等しい。メコン川が北から南に向かって、貫くように流れている。国土の70パーセントが山岳と高原地帯で、「森の国・ラオス」といわれる所以である。
黄濁色の豊満な水を湛えた、メコン川中流域のほとりにある、首都ビエンチャン。フランス風の古い建物と仏教寺院とが、中心部の大半を占めている。そんな、田舎風情の首都であるビエンチャンは、16世紀中葉にルアンパバーンから遷都した。
メコン川は黄金の三角地帯付近からは、ラオスとタイの国境に沿ってしばらく流れていく。パクコプ付近から東に向きを変えて、ラオス国内へ。ルアンパバーンからのメコン川は、パイライの先まで南下してから、再びタイとの国境に沿って流れていく。そのままビエンチャンを通って、流域がカンボジアへと移る。
ルアンパバーンは、メコン川とカーン川の合流地点にある、緑豊かな町だ。ラオス王国の首都として、また、ラオス仏教の中心地として長い間君臨してきた。8世紀中葉には、ラーオ族の中心都市だった。14世紀にラーンサーン王国を建国し、その繁栄は、タイのチェンマイと並び称されるまでになっていた。



かつては「ムアンサワー」、その後「シェントーン」と呼ばれていた、ルアンパバーン。確かわたしは、学校では「ルアンプラバン」と習った記憶がある。今でも地元の人たちは、そのルアンプラバンとの旧名を使っているそうだ。
1975年の革命で王朝は廃止されたが、ルアンパバーンの寺院は残された。でも仏教弾圧が始まり、その栄華もしだいに衰えていった。しかし、1980年後半に始まる開放政策により、荒廃していた寺院の建て直しなどの整備が進んだ。歴史的、文化的遺跡保護の観点から、古都は1995年に、ユネスコの世界遺産に登録される。以来ビエンチャン以上に、重要な観光地ともなった。



現在でも80以上の寺院が立ち並び、ひっそりとした佇まいを見せている。まさに日本でいう、京都のような地である。
ラオスの中で、最も美しさを誇るといわれる寺院。それは、1560年に当時の王によって建立された、「ワット・シェントーン」だ。
寺院は、メコン川とカーン川が合流する、岬の突端のような地に建っている。寺院へは、メコン川側からの階段を上って行く。反対側の通りに面した入口は、裏口のような感がある。そんな寺院の造りからも、メコン川を通して、文化が伝播していった姿が感じとれる。



HOME