モナコの海洋博物館


先ほどよりも小降りになり、霧雨なので、雨もそろそろ上るだろう。どんよりとした空と海で、紺碧のモナコが期待できないのが残念だ。道路沿いの岩場には、荒波が打ちつけて砕け散っている。
地中海に張り出した崖の突端に、「モナコ海洋博物館」があった。どっしりと構え、荘厳で美麗な造りである。館は海洋学者だった、大公のコレクションが展示されている。



1889年から33年間、モナコ大公として、海洋学者でもあったアルベール一世。海洋調査船を建造して、メキシコ湾流域や赤道から北極圏までの北大西洋、それに地中海を組織的に観測した。その結果、数々の深海生物の新種を発見している。
併設されている水族館は、自然界の環境を高度に再現した、「バランスドアクアリウム」として注目されている。
歴代の館長には、著名な海洋学者が知られている。赤いニット帽がトレード・マークで、「海の恋人」と呼ばれていた、フランスの海洋学者のジャック・クストーもその一人である。
クストーは、潜水用のアクアラングの発明者としも知られている。それに、調査船「カリプソ号」での研究や撮影で有名である。深海を扱った「沈黙の世界」は、印象深い映画だ。そのクストーが、館長に就任したのは1957年だった。



館の近くには、「サン・マルタン公園」があり、アルベール一世の銅像があった。海を見据えて操舵している、凛々しい大公の姿である。

   


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