ムンバイの中心街から、湾に向かって繁華街を15分ほど車で走ると、前方に「インド門」が見えてきた。クリーム色の巨大な門の近くで、車から降りる。
イギリスのジョージ5世の来印を記念して、1911年に造られた門である。高さ26メートルの玄武岩のインド門は、かつては植民地のシンボルだったが、今ではムンバイの顔ともなっている。イギリスからの要人が来たときは、今でも歓迎会の式典会場になるという。
門の下は、約600人を収容する広さがある。そのためふだんは、船を待つ人々の絶好の日除け、雨除けの場となっている。
観光客や土産売り子で賑わう門前の広場には、馬上で槍を握りしめた、シヴァージー像が建っている。「闘うヒンドゥ教徒」ともいわれている17世紀の英雄は、「侵略を許すものか」とばかりに、インド門をにらんでいる。
シヴァージーは、デカン高原にマラータ王国を建てて、ムガル帝国に抵抗したのだ。マラータ勢力は、後のイギリス植民地化の最大の障害となったのだった。異教徒や外国人からインドを守った英雄として、今でも尊崇を受けている。
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