船でエレファンタ島へ


インド門の前にある船着場には、観光船がたむろしており、その一隻に乗り込んだ。我々のほかは、数組のインド人グループだった。

船はゆっくりと港を離れて行くと、インド門やタージ・マハル・ホテルが、だんだんと遠ざかっていく。

しばらくすると、けたたましい音が響いてきた。見上げる上空にはヘリコプターが、船の周りを旋回している。かなり低空で、船の近くに接近してきた。パイロットの姿が、はっきりと確認できる。機には、「NAVY」と大きな文字が描かれているので、海軍のヘリである。我々の船にしばし並行していたが、Uターンをして去って行った。




進行方向の左側に要塞が見え始め、次第に大きな姿を現してきた。埠頭には、数隻の軍艦が停泊していた。その中でも航空母艦は、ひときわ大きな船体を晒している。先ほどのヘリは、この基地から飛来したに違いない。




石油の備蓄タンクを過ぎると、基地の姿は波間に消えた。ややあってから前方には、なだらかな島が見えてきた。これから訪れようとしている、「エレファンタ島」である。船は、島に吸い寄せられるかのように、舳先で波を切って快走していく。それとともに、緑豊かな島の姿を現してきた。アラビア海の生暖かい風が、頬を擦っていく。眺める島の周りには、魚網を支えるブイが点々としているが、船影は見られない。




インド門前の船着場から1時間ほどで、エレファンタ島の港に着いた。

下船して、防波堤を歩いて回りこむと、大樹に囲まれた波止場があった。そこには、20隻ほどの漁船が碇を下ろしている。その近くには、引き上げられた数隻の木造の廃船が、草むらに横たわっていた。




防波堤が終わったところに、観光用の赤く小さなトロッコ列車が停まっていた。残念ながら、ちょうど整備中で、分解した部品を道路に並べている。

しばらく線路沿いに歩いてから、両側にヤシやマンゴー、タマリンドなどの高木が茂る、石段を上って行く。


   


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