東群の寺院とカジュラーホー村


西群から、1キロほど離れた場所に、東群の寺院がある。こじんまりとしたヒンドゥ寺院で、訪れる人も少ない。ここにはミトゥナ像はなく、ヴィシュヌ神の小人の化身ヴァーマナに捧げられたのが、「ヴァーマナ寺院」だ。ヴシュヌ神に捧げられた、小さな「ジャヴァーリー寺院」と、ヴィシュヌ神にささげながらもブラフマー神のものとされる、「ブラフマー寺院」がある。


その他、ジャイナ教の祖師たちを祀る寺院が4つある。その中でも高塔の造りが見事なのが、「パールシュヴァナータ寺院」である。今でもジャイナ教徒が訪れているそうだ。純白の小さな塔の頂には、インドの国旗た旗が掲げてあった。そんな造りは、往時のチャンデーラの王たちの寛容な宗教感覚が窺われる。


カジュラーホーは、日が暮れるとジャングルから、ジャッカルの遠吠えが聞こえてくる静かな村だという。しかし、村の中心となる西群寺院の付近を見る限りでは、町の賑わいである。 この地はかつて、「月の神」の後裔と称するチャンデーラ王家が支配していた。9世紀から13世紀に、中部インド一帯に強大な勢力を持ち、一時は北インドへの通路にあたる、グワーリヤルをも治めていたのだ。
旧時カジュラーホーには、大小合わせて85の寺院が造られた。その大多数は、チャンデーラ王家の最盛期だった、950年から1050年の百年間に建造されたものだ。


しかし、13世紀からムスリム勢力が強くなり、1310年には全領域が、ムスリム支配下になってしまった。偶像崇拝を禁じ、彫刻が傷つけられ、寺院が取り壊された。現在残っているのは、22の寺院に過ぎない。




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