イギリス風建物と紅茶工場

雨のヌワラ・エリヤ湖は、霧に煙っていた。それは熱帯とは思えない、神秘的な情景である。ビクトリア・パークの日本庭園を、傘をさして歩いて行く。夏だというのに、肩をすぼめてしまうほど肌寒かったのには驚いた。
郵便局は、イギリス風の大きな建物だった。1828年の植民地時代に建設された、町で一番古い建物という。

そんなヨーロッパ風の様相も、スリランカの風土に融合して個性的な魅力を作り出している。周囲の山々の自然と町は、良く調和して、過度な都市化から守られているようでもある。
ヌワラ・エリヤが、セイロン紅茶で有名になるまでの経緯を追ってみる。それは1839年にキャンディ近郊のペラデニヤ大学の植物園で、茶の種が植えられたのがセイロン紅茶の始まりという。かつてはコーヒーの一大産地だったそうだが、さび病によってコーヒー園のほとんどが枯れてしまったという。
1852年に、スコットランドから17歳の青年がコーヒー園にやって来て、茶の苗の栽培を始めている。彼はペラデニヤ植物園で勉強しながら、植物園に植えてあった茶の木に目を付けたという。苗を手に入れて、キャンディから30キロ離れた山岳地帯に植えたことにより、セイロン最初の茶園に成功したそうだ。後に彼は、「紅茶の神様」と言われるようになったそうだ。
 




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