未来に輝く若者たちの笑顔

 「クトゥブ・ミナール」のモスクに来たのが、ちょうど黄昏どきだった。そのためか、家族連れや若者グループに交じって、カップルをそこここで見かける。
仲睦まじく、手をつないで肩を寄せ合う姿は、10年前に訪れたときには見られなかった光景だ。アジャンタやエローラ、カジューラーホー、アグラなどでも感じたことだが、若者たちの明るい笑顔が素晴らしかった。気楽に声をかけてくることは、かつてほとんどなかったことだ。
今回4度目のインドの旅だが、来るたびに「いったいどんな国なんだろう」と、首を傾げてしまうほど混沌としているインドだ。仏教が生れ、「ゼロ」との数字を発見した国インド。悠久の歴史を、したたかに生き続けている不思議な国であり、それが旅人にとっては魅力ともなっているのだ。


日本の約8・7倍の広大な大地に、多民族、多宗教、それにカーストが、しっかりと根付いている。
「確かに、インドは変化している。ゆっくりとだが、着実に近代化に向かっている」と、この旅を通して痛感した。
国を挙げて開発に余念がない、IT産業。多くの日本企業も進出している。「インドのシリコンバレー」と呼ばれている、バンガーロール。南インドの高原都市から、今まさに世界へ羽ばたこうとしている。
希望に満ちた笑顔と、自由な若者たちの姿は、インドの明るい未来を語りかけてくるようだ。



HOME