象のショーと背に揺られ


チェンマイ(タイ)の「エレファント・キャンプ」は、木々に囲まれた山の中にある。開けた場所の窪地を利用して、斜面の周囲には観覧席が設けられていた。すでに大勢の人々が、ショーの始まるのを待ち受けている。団体とみられる、欧米人の観光客がほとんどだった。
ややあって、象の行進が始まった。先頭の二頭が横長のブラカードを鼻で支えて、その後から、15頭の象が従っている。どの象も鼻先で前の象の尾をくわえて連なっている。顔見せである。
ラウド・スピーカーから音楽を流しているのかと思ったら、象の音楽隊だった。鼻先にハーモニカをくわえて、吹いているのだ。中には、リズムに合わせて踊っている象もいて会場がわいた。
さらに驚いたのは、象のサッカーである。ゴールには1頭の象が入り、2頭の象が代わる代わるボールを蹴るのだ。サッカーのP・K(ペナルティー・キック)合戦のような場面である。キーパーは、スピード・ボールを見事に蹴り返す。しかし、強烈な.1球がゴールインした。すると会場は、拍手喝采の渦となった。



ショーが終わると、2人乗りの象の背に揺られて、ジャングルに入る。ただでさえ、揺れの激しい象だ。登り下りの多い山道は、身を投げ出されそうになり、平地に出るとほっとする。50分ほどジャングルを巡り、元の場所に戻るころには、体が強ばっていた。
ここの「エレファント・キャンプ」は、現在73頭の象と、200人余りのスタッフを抱えているという。あの巨体だから、食いぶちも大変だろうと案ずる。ちなみに草食動物の象は、一日に270〜320キロもの草を食べ、110〜190リットルもの水を飲むという。



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